リーボック、クロスフィットとグラスマンコーチ

最近、リーボックストアからクロスフィットセクションがなくなっていることに、何人かのメンバーさんが気付かれました。これは、リーボックがクロスフィットのスポンサー契約を解除したからです。クロスフィット京都には全く影響はありませんが、最近クロスフィットに起こった大きな問題に関連しています。

私は、世界中で最も特権があるとされているグループのメンバーの一人として、この文章を書いています。私は男性で、イギリスの中流階級の白人です。アメリカ人であれば、もっと優遇されると思います。私はアメリカの黒人差別闘争を実際に経験していませんので、話を鵜呑みにせず、自分の意見を述べたいと思います。

6月6日に、クロスフィット創業者であるグレッグ・グラスマン氏が人種差別的なツイートを投稿し、グラスマン氏やクロスフィット全般に反発を招きました。今のアメリカの酷い状況を考えれば、そのツイートはタイミングも悪く、本当に無神経なものでした。でも、私はそのツイートが人種差別だった、またクロスフィットが人種差別団体だとは思えないのです。

グラスマンコーチのツイートは、保健指標評価研究所(IHME)が出した「人種主義と差別は緊急の対応を要する公衆衛生問題である」と言う声明への返答でした。IHMEはアメリカでのコロナウィルス感染対策に責任があり、それに対するグラスマンコーチの返答は、全く違ったものに解釈されました。物議を醸し出した彼のツイートは、コロナウィルス感染対策に失敗した団体が、人種主義や差別に対して効果的な対応ができるはずがないと言いたかったのだと思います。

現在のアメリカでは、人種差別の台頭は非常に大きな問題であり、そのため、リーボックは多くの関連会社や有名アスリートと同様に、クロスフィットとの関係を断ち切ってしまいました。この対応はかなり厳しいものであり、グラスマンコーチはCEOを退任し、クロスフィットを売却しなくてはなりませんでした。

グラスマンコーチやクロスフィットは人種差別主義でしょうか？私はそうは思いません。クロスフィットL1トレーニングガイドの2ページに、クロスフィットの目的が「幅広く、基礎的で包括的な(私が強調したいのはこれです)フィットネス」と記述されています。2009年に私が初めてL1を受講した時のトレーナーの一人は、黒人コーチでした。人種差別主義団体が黒人コーチを雇用するでしょうか？人種差別主義者が、ケニアの辺境にあるモンバサの住民のために募金活動を行うでしょうか？人種差別主義者が、ホームレス、貧困、依存症等の劣悪な環境で育てられている子供たちとクロスフィット・コミュニティを共有する組織を設立するでしょうか？そのような子供たちの大半が黒人であることをご存知でしょうか？

クロスフィット京都では、グラスマンコーチがクロスフィットをエリートスポーツとしてではなく、健康に重点を置いていたことに好感を持っていました。具体的には、高齢者向けの在宅WODバージョン(
https://www.crossfit.com/at-home/jug-deadlifts-and-thrusters)の作成する、マスターズ及びアダプティブアスリート・トレーニングコースの開発する、そして、現代の生活習慣病を食事と運動でいかに改善させるかについての記事を定期的に公開する等です。これは、私たちのヴィジョンとほぼ一致しており、新しいCEOがこの方針を引き継いでくれることを願っています。

クロスフィット京都は、これまでも、そしてこれからも、あらゆる人種、性別、宗教、性的指向の人々に門戸を開いています。皆さんが誰であるかは問題ではありません。私たちは、皆さんが元気で精一杯頑張れるように、栄養、運動、そして体の健康だけではなく、心の健康もお手伝いしたいと思っています。